この記事では仮想化ソフトウェアを用いたLinuxの環境構築の方法を解説します。
Linuxの知識はシステムエンジニアにとっては必須であり、またプログラミングを学習する環境としても非常に優れています。
学習目的でLinux環境を用意したい方は、仮想化ソフトウェアで構築することをおススメします。
仮想化ソフトウェアで構築する理由や、ソフトウェアのインストール手順・設定方法を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
仮想化ソフトウェアで構築する理由や、ソフトウェアのインストール手順・設定方法を詳しく解説します!
なぜ仮想化ソフトウェアで構築するの?

仮想化とは、物理的な環境にとらわれることなく、ハードウェアに含まれるCPU、メモリなどのリソースを論理的に分割・統合する技術です。限られた数量の物理リソース(CPU、メモリ、ハードディスク、ネットワーク等)を、実際の数量以上のリソース(論理リソース)が稼働しているかのように見せかけることができます。
仮想化ソフトウェアは、この仮想化環境を実現することができるソフトウェアです。
仮想化ソフトウェアでLinuxを使うことで、操作ミスによって普段利用しているOSのデータ削除してしまうなどの被害が及ぶことがなくなります。
WindowsなどのメインのOSから独立してLinuxを操作することができるのです。これが仮想化ソフトウェアで構築する最大の理由です。
「Oracle VM VirtualBox」と「CentOS 7」を使用
この記事では仮想化ソフトウェアでのLinux環境構築のために「Oracle VM VirtualBox」と「CentOS 7」を使用します。これらはどちらも無料で利用することができます。
- Oracle VM VirtualBox・・・仮想化ソフトウェア
- CentOS 7・・・Linuxディストリビューション
Linuxディストリビューションとは、Linuxカーネルとその他ソフトウェア群を一つにまとめ、利用者が容易にインストール・利用できるようにしたものです。
現在CentOSの最新版はCentOS 8ですが、こちらは2021年12月31日にサポートが終了します。CentOS 7はサポートが2024年まで継続されるので、本記事ではサポート期間が長いCentOS 7をインストールします。
構築手順
Oracle VM VirtualBoxをダウンロードする
1.ダウンロードページを開く
こちらのページからOracle VM VirtualBoxをダウンロードすることができます⇒https://www.virtualbox.org/
2.OSを選択
PCのOSに合致するものを選択します。Windowsの方は「Windows hosts」、Macの方は「OS X hosts」を選択してください。
選択するとダウンロードが開始されます。

3.デフォルトの設定で進む
ダウンロード後に以下のような設定画面が続きます。基本的にデフォルトの設定で問題ありません。NEXTを押して進めてください。

こちらの画面が表示されたらひとまずOracle VM VirtualBoxの作業は完了です。


CentOS 7のイメージファイルをダウンロードする
VirtualBoxにCentOSをインストールするために、CentOSのイメージファイル(ISOファイル)をダウンロードする必要があります。
ISOファイルはCDやDVDなどの光ディスクの内容をその構造や管理データを含め丸ごと収めたファイルのことです。VirtualBoxではISOファイルにOSのインストールを行うことができます。
以下のサイトのDownloadページからCentOS 7をダウンロードできます。
⇒https://www.centos.org/centos-linux/
ダウンロードサイトで「x86_64」を選択してください。

ダウンロードサイトを選択する画面に遷移するので、任意のサイトを選択します。

遷移先で「CentOS-7-x86 64-DVD-2009.iso」を選択してください。ダウンロードが開始されます。

ダウンロードサイズが4G以上あるので、通信環境が良い場所でのダウンロードをおススメします。
仮想マシンの作成
CentOSのイメージファイルをダウンロードしたら、VirtualBox上にCentOSを動かすための仮想マシンを作成します。
1.VirtualBoxマネージャーから「新規」を押して仮想マシンを作成画面に進みます
2.名前とマシンフォルダーを指定します
私は名前を「CentOS」にし、マシンフォルダーはデフォルトのままにしました。

3.その他の設定を進める
設定画面が続くので、それぞれ以下の値にしてください。
- メモリーサイズ⇒1024MB
- ハードディスク⇒仮想ハードディスクを作成する
- ハードディスクのファイルタイプ⇒VDI(VirtualBox Disk Image)
- 物理ハードディスクにあるストレージ⇒可変サイズ
- ファイルの場所とサイズ⇒16MB
- 起動ハードディスクを選択⇒CentOS-7-x86_64-DVD-2009(ダウンロードしたイメージファイルを選択)
仮想マシンの作成完了

CentOS 7のインストール
1.Oracle VM VirtualBox マネージャーの「起動」を押す
CentOSのインストーラが起動します
2.「Install CentOS 7」を選択

3.言語を選択
お好みで利用する言語を設定します。私は日本語を選択しました。

4.インストールの概要を設定
言語を設定すると、インストールの概要画面に遷移します。ここで以下の3項目を設定します⇓
- ソフトウェア
- インストール先
- ネットワークとホスト名

・ソフトウェアの選択
サーバー(GUI使用)を選択します。Linuxサーバ環境でマウスを使った操作ができるオーソドックスな構成です。
「選択した環境のアドオン」で何かを選択する必要はありません。

・インストール先
仮想マシン作成時に作ったATA VBOX HARDDISKを選択します。(デフォルトで選択されているかも?)

・ネットワークとホスト名
Ethernetをオンにします

3項目の設定が完了したら、「インストールの開始」を選択します

ユーザーの設定
インストールが開始されたらユーザーの設定画面が表示されるので、設定していきます。

1.rootパスワード
Linuxの管理ユーザーである「rootユーザー」のパスワードを設定します。

2.ユーザーの作成
利用するアカウントの設定をします。
「このユーザーを管理者にする」「このアカウントを使用する場合にパスワードを必要とする」はチェックを入れておきましょう。

これでユーザーの作成は完了です。
インストールが完了すると再起動ボタンが現れるので、一度再起動させます。再起動後にライセンス情報の画面が表示されるので、ライセンスに同意します。
以上で初期セットアップは完了です。お疲れさまでした!
Linuxのターミナルを開く
最後に、Linuxコマンドを打つターミナル画面を開く方法を紹介します。
VirtualBoxを起動すると以下のようにパスワードを要求されるので、設定したパスワードを入力します。

パスワードを入力してホーム画面に進んだ後、アプリケーション>システムツール>端末の順に選択します。

以下のターミナルが開きます。この画面にコマンドを入力してLinuxを動かすことができます。

まとめ
この記事では、仮想化ソフトウェアを用いてLinuxの環境構築をする方法を紹介しました。
手順は少々多いですが、難しい工程はないので誰でもできると思います。自分のPCでLinuxを使えるようにして、どんどんレベルアップしていきましょう!構築に用いた仮想化ソフトウェアの知識も、エンジニアならば役立ちます。
この記事が参考になればうれしいです。